ITパスポートとは
ITパスポートとは独立行政法人 情報処理推進機構による「ITを利活用するすべての社会人・これから社会人となる学生が備えておくべき、ITに関する基礎的な知識が証明できる国家資格」となります(通称:iパス)。
実は、このITパスポートは、情報処理技術者試験の中でも初級に相当するのですが、侮るなかれ、これが以外とITを運営する上での大切な知識が試される資格であります。ストラテジ(戦略)的な視点、マネジメント(経営)的な視点、そしてテクノロジ(技術)的な視点での3つのジャンルで構成されており、どれもIT社会を生きぬための知識として必要な内容が幅広く試されており、ITリテラシーを高めるための大切な内容となっています。
つまり、ITを理解し、運営する上でのスペシャリストとなるための第一歩を踏み出すための「一丁目一番地」となるような位置づけとなります。

巷では、「チョロいとか、役には立たないとか・・・」言われてもいますが、ホントにそうかな? と私は思っています。恐らく、四択式で特段無資格で受験もでき、入門なので・・・とか、ワンチャン合格するのでは? と言った感じでの声かと思いますが、ここで学ぶ試験内容は意外と幅が広く、社会人が今のIT社会で業務を遂行する上での重要なエッセンスが詰まった幅広い範囲での内容となっており、一定のITリテラシーを身に着けるためにも非常に有益です。
試験内容
まずは、簡単に試験範囲から見ていきましょう。
試験は全部で100問。これを120分で解くことになります。試験方法はCBT方式といって、コンピューターを使った試験です。前述のように四肢択一式です。
意外と、2つまでは絞れるんだけど・・・ってのことが、最初のころはいろいろありましたが、メンタル的には「あとは確率5割」と思えば気が楽ですね。
合格基準は、条件として2つあり。
- 全体で60%以上の正解率
- 3つの各分野(後述:ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系)で各30%以上
となっています(どのジャンルも落としてはいけないということです)。
ちなみに、傾向的のようですが、100問ある内でジャンル内で過去問が7割、新出問題が2割程度とも言われているようです。本番は、ある意味で見たことも無いような問題に出くわす可能性がそこそこは有るでしょう。でも上記の傾向から過去問をしっかりやっておくと、きっと合格するレベルに到達できるのではないかと思います。
※ 実は100問中8問は「捨て問題」と言わているものが含まれます。このため実際には92問で合否判定が行われるとも言われていて、この8問は今後の出題へ向けてレベルなどをモニタリングしているようです。いわゆるアンケートみたいなものですね。こちらは、今後シラバスとしてジャンルに加えるかどうかも含めて評価している段階なので「知らないジャンルだぞ」と思っても焦らず、他で9割しっかり解けば十分合格点だと思って、次の問題を解くように心構えておいたら良いでしょう。
ストラテジ系
これは主に会社での基本的な会社運営に関わる基礎ならびに経営戦略としての知識が問われるジャンルとなっています。
| 企業と法務 | 企業の責任と経営資源、財務、知的財産権、不正競争防止法、セキュリティ関連法規、労働安全法規、コンプライアンスや個人情報保護、ISO規格など |
| 経営戦略 | 経営戦略、PPM(Product Portfolio Management)、マーケティング、技術戦略、ビジネスシステム、エンジニアリングシステム、生産管理、IoT、ECなど |
| システム戦略 | 情報システム戦略、業務プロセスとその改善、ソリューションビジネス、DX、企画・要件定義、調達、RFI/RFQ など |
となっていて、こういったところがITパスポートの勉強として大切なところと思う所なんですよね。
もう少し深堀していくと、財務などは損益分岐点や貸借対照表、損益計算書、キャッシュフローなどにおいて、少し計算問題などもあります。でも扱う数値は計算しやすい数値でCBT試験では画面にて電卓アプリも出てきますので、これから受験する人はあまり気落ちせず計算の方法(公式的な解き方)などを勉強したら、それほど難しくありません。
また、近年ではセキュリティ関連や個人情報については注目されており、GDPR(General Data Protection Regulation)なども耳にしたことがあるかもしれませんが、これらのジャンルも重要です。
経営戦略では、SWOT分析をはじめとするマーケティングの進め方、近年話題ともなっているAI(人工知能)などの分野にも触れられています。
システム戦略では、業務の改善=ここが私のもっとも得意とするところ! そして、要件の定義などの業務の進め方、これらをシステマティックに推進するプロセス管理手法、さらには近年話題のクラウドサービスなどの内容も時代にマッチした形で出題されます。 なので、こういう所がITパスポートが社会人のための・・・となっている所以で別に情報システム部門の人のためではなく、文系の人や理系の人関係なく、IT社会を生き抜くための知識を学んでいく、とっても大切な資格であることがわかってもらえたかと思います。
マネジメント系
こちらもごく一般的なモノづくりとしての企業運営の知識が試されます。核心にふれるような難しい内容ではなく、言葉の理解と進め方などの概要を理解しておけば、それほど難しく感じることはありませんが、業務に携わっていない分野などは、きっとあるでしょうから、しっかり理解を深めて行きましょう。
| 開発技術 | システム設計、ソフトウェアライフサイクル、テスト、運用と保守、ソフトウェア開発モデルと手法など |
| プロジェクトマネジメント | PMBOKの知識、スコープ・スケジュール・リスクマネジメントなど |
| サービスマネジメント | ITIL、アベイラビリティ、PDCA、サービスマネジメント、ファシリティマネジメント、システム監査、内部統制など |
こちらはプロジェクトマネジメントとしての知識が必ず問われますが、実務経験が無くても知識として知っておきたい内容が豊富にあるので、言葉と意味、そして進め方など理解しておいて損はないジャンルです。またリスクに対しての考え方も大切ですので、こういった内容も知っておくことでグローバルなIT人材を目指すには実務でも活用できる内容ばかりです。
テクノロジ系
こちらは、ITのど真ん中の技術的内容で最も出題比率は高いジャンルとなります。
| 基礎理論 | 2進数、16進数、集合、データ構造、アルゴリズムとフローチャート、コンピュータ言語、プログラミングなど |
| コンピュータシステム | コンピュータ処理、システム評価、信頼性、ハードウェア、演算、制御、入出力、ソフトウェア、OS、ファイル構造、アプリケーションなど |
| 技術要素 | データベース、ネットワーク、情報セキュリティ、暗号技術、リスクマネジメントなど |
と大きく分かれていますが、実際にこのジャンルは、理系と文系でも差が出るところかも知れませんが、近年パソコンの普及が進むにつれ、多くの人がパソコンに慣れ親しみ、取り扱う情報や知識も豊富にあふれているでしょうから、大きく差が出る訳ではないでしょう。個人的にはアルゴリズムやプログラミング、そしてセキュリティ関連などは、特殊な技能かとも思われますので、しっかり理解を深めておきましょう。また、ハードウェア関連の言葉や動作、ソフトウェアの概念なども抑えておければ合格ラインに立てるのではと思います。
どれもIT社会を生き抜くための豊富な知識が得られます。知っていそうで実は上手く人に説明できないって言うような内容もたくさんありますので、実はそういう意味でも学習を進めて行く上でも有益かと思います。
以上、ITパスポートの概要と試験内容をまとめてみました。ITパスポートというひとつの資格の媒体を通じて、企業運営から技術的な内容まで幅広い知識が問われるので、本当に社会人としては打って付けの資格ではないでしょうか。私も勉強の中で知識の整理なども進めることが出来ました、入門と言うよりグローバルにこの資格の重要性が分かった気がします。一家に一台と言うわけではありませんが、社会人ならだれでも取得してほしい資格かと思いますので、ぜひチャレンジしてみてください。


