ここでは、品質方針とKPIについて、考え方を学んでいきましょう。
品質方針とは
企業の品質を高めるための一歩として、品質方針を明確にしておくことが大切です。
これは、従業員が方向性を迷うことなく、ある目的を達成させるためにTOPダウンとしての責務でもあります。
なんら指針も決めずに道のりを歩くということは、心細いものですからね。
このように、TOPがベクトルを定めてあげないと一致団結して目的を達成させようということは至難の業ですから、品質に関わるTOPはしっかりと品質方針を定めていくことが望まれます。
この方針というものは、高いゴールを決めるというのではなく、手が届きそうな、そして、できそうな形にして制定してあげることが推奨されます。
ゴールって何?
さて、品質方針ってどんなもの何だろう、とお考えになられる企業様も少なくありません。
実際にいくつかの企業様の品質体制監査を実施してきた私の経験からも、制定内容は様々で、どれが正しいというものではありませんが、下記のような視点からゴールを決めていけばよいのではないでしょうか。
- 顧客満足度を高める
- モノづくりとしての製品やサービスの品質を高める
- 安全である
- 人づくりを高める などなど
このような考え方でゴールを決めてみてください。もし可能なら、これを数値化してみるとアピール性が高まります。これをKGI(Key Goal Indicator)と言います。
これが従業員の心をつかめるようなゴールであるなら、品質方針のゴールつくりは確かなものになるでしょう。
ゴールだけ決めても・・・
うです。ゴールが明確になっても、そこにどうやってたどり着ければよいのか、それこそ従業員は戸惑うのかも知れませんよね。「TOPは何を言ってるんだ! 何を偉そうに・・・責任者出てこい!」って思うかも知れませんよね。それこそ責任者はすぐそばにいるんだけどねって、感じですよね。
地に足をつけながら、品質の向上を高めるには、その目標に向かって何をしなければならないのかを示してあげる必要があります。「えっ!そんな過保護な・・・仕事は判ってるよね」とTOPは思うかもしれませんが、そこに従業員とのギャップも生まれて来るものです。
まずは、ひとつに団結できる場を作ってあげるのがTOPのお仕事のひとつでもあります。
このために、何をいつまでにどんな形で(方法までとは言わなくとも)達成させていくのか、モニタリングできる指標を作ってあげます。これが、いわゆるKPI(Key Performance Indicator)とも言われるものに相当します。
KPI(Key Performance Indicator)とは
KPIとは、Key Performance Indicatorの略で簡単に言うと数値目標となります。この数値目標を定期的にウォッチし、外れたら、「なぜだろう」から「どうすれば良くなるのかな」「うん、このままうまく突き進んで行こう」など行った形で、TOPだけではなく、従業員も考えて行動しやすいようなモニタリングできる数値目標を共有しながら推進できることが、よい品質を生み出すのです。
例えば、生産ラインの不良率を○○以下にしようとか、毎月事故が無いようにとか、お客様の返品を○○以下にしようとか・・・モノづくりをやっているとどうしても不適な製品が作られてしまうこともありますものね。そんな時に何が問題だったのか、その課題はどのように克服すれば良いのか・・・考えるチャンスを作るのです。決して不不良品が作られたからと言って、また安全不適切があったからと言って、人を責めてはいけません。そこには従業員の教育の不足も起因のひとつかも知れませんよ。
きっと、手に届きそうで、誰にでもわかりやすく共有できるようなKPIとして、品質活動のパフォーマンスを測定できるような形でゴールに向かった道を作っていきましょう。
きっと、これだけでも品質方針としての確かな指針が出来るのではと思っていますので、ぜひ、まだ上手く品質方針があいまいであったり、なかなかパフォーマンスが上がらないといったケースに直面したら振り返ってみてくださいね。
CSF(Critical Success Factor)を考える
ゴールを決める上で、ポイントとなるとは最も重要な要素は何か? ということです。そこでCSFという概念が良く使われますが、これは、ゴールへ向かっていくための達成すべきやるべきことが最重要プロセスとして定義してあげる必要があります。
例えば、不良をゼロにしたい、というゴールがあるなら、不良率を常に改善して低減してあげないとゴールには到達できないですよね。
このよううに、KGIを達成させるためには、あらかじめ到達すべき要素を決めてあげる、つまりCSFを決めて、そこに対して、どのような数値モニタリングをすべきかを考えることがKPIを決めていく上での大切なプロセスになるのですね。
ルールを決めておこう
ところで、この品質方針には作成にあたってルールなどは決められていますか?
実は、この基準が決められていないケースが多いのです。ISO9001とか、私が従事していた自動車関連のお仕事においてはIATF16949などといった品質マネジメントシステムによって、このようなルールなども明確にしていくことが要求されていましたが、実際のモノづくりって、そこまで対応できる企業様はまだまだのケースも多分にあります。
ここまで、読んでいただきありがとうございました。
引き続き、品質向上へみなさんのお役に立てるようにがんばります。


