顧客要求のCSRとCR

品質システム

顧客要求とは、文字通りモノづくりにおいて、お客様からの要望に対してモノづくりの仕様に反映させる重要なプロセスのひとつです。製品を提供する上でこの要望に即したものでないと顧客満足に直結しませんので、これらの要望に満たせることがモノづくり品質を語る上でも重要なキーワードのひとつでもあります。

ここでは、自動車向けのサプライチェーンに焦点を当てて考えて行きますが、考え方は基本的に同じでISO9001などのQMSすなわち品質マネジメントシステムの中でも大切な要求事項のひとつとなってきます。

自動車向けのQMS(品質マネジメントシステム)すなわちIATF16949では、ISO9001の基本事項に対し補足や追加が行われ、自動車OEM業界に合わせた品質管理や品質保証が求められています。
そして、この要求事項を重視した品質対応が可能であるプロセスであることを構築しなければなりません。

顧客要求について

この顧客要求の中でも、顧客固有要求事項(CSR)と顧客要求事項(CR)について、どれだけみなさんは理解されていますでしょうか。
これらには品質マネジメント上に明確な違いがあり、この違いを知っておくと自動車サプライチェーン事例以外にも考え方にも通じるところがあります。簡単に違いとそれらの理解を進めて行きましょう。

また、QMSの審査などでは、それぞれの具体的対応方法を聞かれるケースが近年増加しています。このため、それらの違いについてポイントを理解しておかないと、CSRを聞かれてもCRを答えてしまったり(その逆も・・・)、品質をしっかりマネジメントできていないとみなされるケースも少なくありません。

さらには、要求事項には具体的な数値などで顧客の要求が示されているものも多いので、自社の方針管理やKPI設定との相関などを踏まえて理解しておく必要も出てきますので注意が必要です。

このため、違いについてはしっかり理解しておきましょう。一度理解しておけば、それほど難しい内容でありませんので、落ち着いて理解を進めてくださいね。

顧客固有要求事項(CSR)とは

ここでいう、CSRはCustomer Specific Requirementsの略です。

よく、企業のコーポレートガバナンス構築のためのCSR(Corporate Social Responsibility)つまり企業の社会的責任のお話と違って、ここでは、品質マネジメントシステムISO9001や自動車向け品質マネジメントシステムIATF16949の項目にリンクして、自動車メーカやサプライチェーンが追加で補足しておくQMS要求事項となります。

つまり、要求項目のアイテムとしては、ISO9001 < IATF16949 < お客様のCSR の関係が成り立ちます。

お客様ごとに追加の要求/要請などが異なりますし、すべてを記述することは不可能ですが、一般的にはお客様の品質管理システムなどへのリンクを求め、お客様にてスムーズな運営が行われるようにするためのIATF16949の一般事項から顧客の運営にカスタマイズされる形で●●に対応すべきであると記されるような要求事項が多いです。その中に、これらの品質マネジメントシステムの項目(第●●条)において、このサイトにデータをアップロードせよとか、こんなフォームで対応せよとか・・・いろいろあるかと思いますので、注意して確認していきましょう。

ちなみに、CSRは顧客固有の品質マネジメントシステムですが、基本ベースはISO9001やIATF16949です。このため、要求においては条項番号に則した記述がなされているケースが多いです。内容においては下記のパターンがあります。

① 非対象には、「追加要求無し」、とか「No Customer-Specific Requirements for this section」などと記述されている
② 追加要求の項番だけが抽出され、その追加内容が記述されている

このような形でCSRは示されていますので、それぞれの顧客に合わせて、何を追加でチェックしないといけないのか、手間でもその対応者は確実に確認して行きましょう。

自動車向け部品が顧客満足を志向しているのは、このためです。お客様の必要としてる形で各社対応していく必要があり、この点は部品メーカ側では、その管理が適切に行われているのか、審査などでもチェックポイントして重要になってきます。

一例としてIATFで定められている顧客固有要求事項は下記の通りになります(IATFサイトより引用)。

Customer Specific Requirements – International Automotive Task Force

顧客要求事項(CR)とは

CRについては、取引契約事項や製品要求事項(設計図面、仕様書、環境性能要求)などの一般的な要求であり、IATF16949導入とは関係なく、一般に存在します。

これは、基本的には寸法/諸元だったり、機能だったり、性能だったり、信頼性だったりを示したもの、顧客から見て最低限守ってほしい製品のスペックなどが、多くあります。また、製造に関しての条件なども記述されるケースも最近では少なくありません。製品のスペックが守られているから、あとはどんな作り方をしても良いというのではなくて、製造上の要求事項(設備や工法など、検査条件なども)も遵守できているかどうか、思い込みで作ってしまっては不適合となってしまうので注意が必要です。

これは検査未実施や管理値不正操作などの品質不正などにも対応したトレンドになっているのかも知れませんので、モノづくり品質を語る上では、要求事項の確認は最も重要な業務のひとつと言えます。

例えば、この部分は機械ではんだ付けしなさい、とか、X線検査を行い見えない部分の空洞を測定して一定の数値以下に収めなさい特定の生産設備トレーサビリティ条件など製品の表に出てこないことも製造条件で要求されることがあります。まさしく、ここがモノづくり品質に関わるところでもありますが、生産技術の進展がこれらを厳しく管理していっているとも過言ではないので、技術動向や知見を深めつつ顧客要求を注視して行きましょう。

また、IATF16949の基本理念は「顧客志向」です。そしてISOをはじめとする審査機関の審査においては顧客満足度を高める活動のひとつとして重要視されます。このためCSRはIATFの要求としての確認はなされますが、平行してCRとしての要求事項も問われる可能性は多分にありますので、常なる整備は進めて行きましょう。

まとめ

このように、顧客固有要求事項(CSR)と顧客要求事項(CR)は正しく理解していないと混同されがちです。
あらためて整理しますが、言葉の定義上を理解して、それぞれを意識した整理を心がけましょう。

顧客固有要求事項(CSR):
 品質マネジメントシステムの条項/項目にリンクして顧客が特有で補足や言及した要求事項

顧客要求事項(CR):
 取引契約事項や製品要求事項(設計図面、仕様書)などの一般的な要求、近年では製造条件にも注意

今回は仕様管理を進めて行く上での顧客固有要求事項(CSR)と顧客要求事項(CR)との違いについて説明してきました。これらは管理の仕方としては同様ですが、別々の管理であると同時に、それぞれがリンクし合いながら、最終的には製品のスペックとして結びついてきますので、どちらも大切な要求事項として顧客満足度を高める上で正しく認識して管理できるようにしましょう。

このため、品質関連で「お客様からのCSRなどご要求はありますか」などと聞かれた場合には、コーポレートガバナンスのお話ではなく、「品質マネジメントシステムとして何か特別なご要求がありますか」と読み替えて対応するように心がけましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

タイトルとURLをコピーしました