タートル図とは、モノづくりの流れの中で、個々に分けられたフェーズをもとに、「プロセス」として明確化された業務分野について、アウトプットを如何に効率よく運営していくか、また見える化するかを示したチャートとなります。必ずしも必須とは限りませんが、組織単位として業務やステップが明確化されているセクションに対しては作成しておくことが望ましく、「プロセスアプローチ」として必要な要素が盛り込まれた利便性の高い構成であり、そのまとめ方から亀の甲羅のような形状であることから、「タートル図」と呼ばれています。目標達成へ向けた活動に対して、方法/資源/スキルなどを明確にし、その評価指標を整理して測定/監視を明確にしていくことで監査員との情報共有が容易に図れるものとして有益なシステムとなります。
まずタートル図とはどのようなものかチャートを見て行きましょう。

①プロセス名称
真ん中に「プロセス」の名称があります。どのようなプロセスなのかがわかるように簡潔に記しておきましょう。また、その「プロセス」の責任者を明確にしておくことが重要です。
②インプット
こちらは、概ね2つに分かれます。
一つ目は、前のプロセスから入ってくるモノを示します。主に材料や文章が相当します。
そして、二つ目は、このプロセスの要求事項や目標・計画となります。
これは、顧客から要求される仕様/スペック、図面や規格値や前提条件が挙げられます。この中には顧客のニーズなども含まれます。また、別枠でも説明できる機会があればですが、「顧客固有要求事項(CSR)」「顧客要求事項(CR)」が相当します。
そして、このプロセスとしてあるべき目標や計画、さらにはリスクに対する取組み計画、近年ではモノづくりとしてトレンドとなっている法令・規制なども必要とされます。
③アウトプット
アウトプット自体は具体的には、次のプロセス(顧客や次工程)に引き渡されるものが中心となりますが、このプロセスにおいての成果としての目標・計画などの実績、さらにはプロセスのリスクへ取組んだ結果としての予実計画などとしての文書類・記録類・情報類を含んだ成果物類などをアウトプットとして定義しておきます。また、これらは有形なもとは限りません。例えばソフトウェアなどの無形資産やサービス対応における取組みなども特定のプロセスでは含まれます。
④物的資源
物的資源は、主に設備やシステム、情報類を示し、このプロセスを成功に導くための「何を用いて?」を明確にして行きます。また、これらを機能させる上でのソフトウェアのツールとして資源のひとつとなります。そして、管理する上でのチェックシート類、点検簿類、有効期限などを示した情報なども対象としてプロセスとして業務推進する糧になりますので、これらも物的資源としてリストアップしておきましょう。
⑤人的資源
人的資源は、このプロセスを推進する上で必要となる要員そして、その要員が機能する力量すなわちスキルを明確にすることです。力量においては、こちらも別枠でお話しできればと思いますが、スキルマップなどに要員がどれだけのスキルを行使できるかを明確にしたり、教育・訓練においての段階を示した形での見える化を行っておくと良いでしょう。その意味で「誰が」実施するのかを明確にしていくのです。
さらには、プロセスの中には、さまざまな子プロセスやステップがあります。それぞれの担当職務やそれを決済できる責任範囲や権限なども明確にしていくことで、業務をスムーズに推進することができます。
⑥運用方法
運用方法は、このプロセスを実際に推進する上での「手順」や「対応の技法」を指します。そこには「ノウハウ」なども挙げられますが、何らかの具体化や見える化した形として「どのように?」を示しておく必要があります。要領書やフローなどがこれらに相当します。規定類などのルールもある意味で運用に欠かせません。
そして、プロセスには、様々な関連するプロセスがあるかと思いますが、これらプロセスの関係を明確にしておくことで、一連の流れもわかりやすくでき、自分たちのプロセスの運用方法の助けになるはずです。
⑦評価指標
みなさんのプロセスに対してのアウトプットを評価する指標を定めておく必要があります。評価に対して、「どのように」監視するのか、そして測定する項目は何にするのか・・・これらは「KPI」としてタイミングよく分析される指標つまり具体的な数値目標である必要があります。
ある意味、出来栄えを見える形にするというのがポイントですが、
- アウトプットの達成度
- 得られた成果
- プロセスの有効性や効率
などが、代表とされるパフォーマンスとして挙げられす。中でもISO9001をはじめとする品質マネジメントシステム(QMS)では、要求事項として「有効性」を明確にすることを求められます。これは、プロセスのアウトプットが確かなものとして推進している上で重要な指標とされており、「KPI」として見える化しておくことで、確実にプロセスが運用されていることを担保して行くとともに、次のプロセスへの信頼性が高まります。
有効性:目標や計画の進捗などに対して、成果や結果がどうであったか
効率性: 投入した資源に対する成果や結果の程度
ちなみに「効率」をトレンドともされているケースがありますが、プロセスによっては、そのすべてが「効率性」を必須とするものではありません。IATF16949の公式解釈集(SI-12)でも明確にされており、プロセス内で不要である事由が明確であれば(必要性がないなど)特段システム的にも問われることはありません。なおマネジメントレビューなどでは「効率性」は重要視されるようですので注意が必要です。
有効性と効率についてのポイントはこちらも参照してみてください。

なお、注意しておきたい点として、この「有効性」などの指標は、目標が未達であっても、その要因を分析して、次なるアクションが計画されているのであれば、品質マネジメントシステム(QMS)上はPDCAが上手く回せている、つまりマネジメントが効いているものと判断され、審査上も問題にはなりません。
このように、タートル図では7つのポイントを理解して見える化しておくことで、業務自体もわかりやすくなりますし、何よりも審査などにおいて監査員側も情報を共有しやすくなり、監査などの受審においてはスムーズに進めることができます。審査員はこのチャートが大好きで、これを起点に審査も進むくらいですので、準備しておくことに越したことはありません。ぜひ作成しておくことを強く推奨します。
いずれにしてもプロセスアプローチが要求事項である限り、これらを見据えた運営を実施することが必須ですし、それらを見える化しておいて損はありません。すべての細分化されたプロセスでは途方もない作業量と常にメンテナンスも必要であることから大変なことになるかもしれませんが、メインプロセスにおいては整理して作成しておくことを前提に進めておくとよいでしょう。どの道、プロセスアプローチとして、これらの要素は問われることになるのだから・・・
ということで、今回はタートル図について取り上げてみました。いかがでしたでしょうか。今回もご覧いただきありがとうございました。


