設計とは、モノづくりを生み出す原点ともいわれるプロセスになります。
設計活動を進めて行く上でも品質は、最大限考慮しなければいけない重要なアクションとなりますが、設計といっても生み出す製品によってそのテクニックは数知れずあります。ここでは品質管理の視点から必要なアプローチをトピックとして重要な観点を述べて行きます。
要求・仕様段階・法規制
ここでは、顧客要求や市場要求を正確に把握して、これらが設計仕様にもれなく反映されていることが重要です。営業的な側面、サプライチェーン的な側面、生産技術面でのポイント、製造現場の意見、信頼性の確保、品質の管理と担保、など必要な要件を満たしていく必要があります。このため、クロスファンクショナルチーム的な組織運営も考慮に入れながら、要求仕様を自分たちの製品の中に取り入れましょう。また、要求事項の不明点・矛盾点を確認・記録していることも大切です。
さらには、常に最新版管理を行い、仕様が遵守されているかの確認も必ず行ってください。
仕様に変更があれば、この変更品管理のプロセスも設けておき、常に運用できるような形での仕組みづくりをお願いします。
また、求められている内容が法規制や業界規格に準じているモノかどうかの確認にも有効です。
このため、製品の仕向先にあわせて必要な法規制などを管理して最新版を維持し適用するような管理が必要です。つまり、各国の要求仕様をリサーチし、それに準じた設計がなされているかをレビューできるイベントを行う必要があります。
この法規制については、世の中の管理基準の整理と確認手順が明確である事、アクセス権管理もしっかりできていることも必要な条件となりえます。
開発計画
設計的対応(スケジュール、担当、レビュータイミングなど)が定義されていることが重要です。
そして設計活動から量産に移行する段階で十分完成度の高いモノづくりがなされていることの検証が必要です。
また設計フェーズには、試作などの有無を決定させる基準を示しておく必要があります。(むやみやたらに試作する必要性を感じえないが、試作の必要性はグレード事で異なるので、適切なガイドラインが要求)
例えば、自動車関連でIATF16949を対象としているなら、APQP(先行製品品質計画ーAdvanced Product Quality Planning)という品質マネジメント手法で、新製品や工程変更時に、計画から量産立ち上げまでを5つのフェーズで体系的に管理し、顧客要求を満たす品質・コスト・納期を確実に達成するためのプロセスを構築して開発計画を立てていく必要があります。
これらは、自動車関連に限るものではありませんが、以下のようなフェーズを組みながら、関係部門との連携でクロスファンクショナルチームを形成して、ステップ管理していくことが望まれます。
(1) プログラムの企画および確定(Plan and Define Program)
(2) 製品の設計および開発(Product Design and Development)
(3) 製造プロセスの設計および開発(Process Design and Development)
(4) 製品および製造プロセスの検証試験(Product and Process Validation)
(5) フィードバック、評価及び是正(Feedback, Assessment and Corrective Action
意外と当たり前のように見えますが、これらのフェーズにおいて、必ず計画と実績、そして検証結果が記録されることを忘れてはなりません。この記録の不備は品質マネジメントでの大きな落とし穴となる可能性がありますので注意して臨んで行きましょう。
設計アプトプット
図面・仕様書などが設計インプットを満たしていることが前提ですが、製造や検査に必要で、使用可能な情報が十分に含まれていなければなりません。
そしてこれらが承認者として適切に承認され、バージョンが識別されていることが肝心です。
設計意図が、分かりやすい表現で誰でも理解ができるように仕向けておくことが大切です。
設計品質
機能・性能・安全性・信頼性が要求を満たしている必要があります。
過去の不具合や設計ミスなどに対して適切な原因究明と再発防止が行われていることが品質マネジメントシステムの中では重要です。
また、設計FMEAやDRBFMなどによるリスクに対しての十分な審議(分析)がなされていることも重要な項目となります。
そして、設計的マージンがどこにあるのか、本来明確にしておくべきで、適切な管理がなされていることが必要です。
なお、是正処置の効果確認を行っていなければなりません。
さらには、製造性を考慮した形で設計がなされており、使用感としても顧客満足を得やすい形で設計されているかもモノづくり品質の中では十分検討されていることを示さなければなりません。
検証・レビュー
設計レビュー(Design Review)が適切なメンバーで行われており、これが記録としてイベントの証拠となっていること。図面などの仕様に対するチェックには相互チェックが望ましいと考えます。
また、シミュレーションなども用いてよいが、検証においては現物とのモデリングにより十分効果があるものを選択する必要があり、根拠を明確にしておくべきである点に注意が必要です。
プロセスルール
設計標準・設計ルール(社内規格、業界規格)を遵守している必要があります。
設計プロセス(基本設計⇒詳細設計など)が明確であり遵守されていること
特に設計審査としてのルールが規程として確実に見える位置にあり、プロセスアプローチとして確実に回っていることが重要です。
これは第1項にもありますが、開発計画の中に、要求仕様や法規制関連のチェックを行うため、各種制約やイベントが計画的に予実管理されており、問題点がフィードバックされていることが重要です。
(1) 設計関連文書の管理ルールが定められている
(2) 廃止・旧版図面が現場に残っていない(確実に隔離されている)
(3) 記録の保管期間・保管場所が決まっている
そして、検証においては、
(4) 過去トラ検証やその結果の新仕様品への展開
(5) 設計FMEAによる予知予測や工程FMEAへの展開
(6) 信頼性検証の結果に基づく仕様見直し
などのプロセスにつながるしくみ作りが大切になってきます。これらの考慮においてプロセスを構築していく必要があります。そしてこのプロセスを回して行かなければなりません。
他部門との連携
設計部門の設計活動においては、常に仕様を満たす目的であることが重要ですが、下記のような課題についての考慮は欠かせません。設計部門の中にいては、そのすべてが見通せるわけではない可能性も潜んでおり、品質マネジメントシステムで要求されるクロスファンクショナルチーム(いわゆる他部門との連携・協議)の中で、数々の課題を克服して、モノづくりを進めて行くことになります。
(1) 製造部門とのDFM(作りやすさ:Design for Manufacturing)を考慮した設計になっていること
(2) 品質部門と連携し、検査性・測定性を考慮していること
(3) 調達・サプライヤーの能力を考慮した設計になっていること
人・組織・スキル
設計者の力量に応じた業務アサインがされていることが重要です。
これには、スキルの管理が必要となってきます。一般的にはスキルマップとして、設計作業に応じた必要な能力を洗い出し、相当するスキルを保有するかをメンバーの力量をマトリックス形式などにして見える化しておくことが推奨されます。
また、設計ノウハウ・不具合事例の共有・教育が継続的に行われていること。
さらには、属人化を防ぎ、誰が担当しても一定品質を保てる体制であること。
もチーム運営と管理面では、考慮しておくべき注意事項となるので、スキルマップ構築における大切なポイントとして留意しておくと良いでしょう。
品質マネジメントの観点としてのまとめ
最後に、設計品質を作り上げるために、運営のガイドラインとしてISO9001等のQMS要求を満たした設計管理がなされていることが重要です。3つのポイントとして実際の運営としては、
(1) 設計段階で品質を作り込む(後工程任せにしない)意識があること
(2) 設計品質のKPI(設計不具合件数、再設計率など)を把握していること
(3) 設計部門の品質管理の本質は「後工程で問題を出さない設計を初期で作り込むこと」
そして、管理側面としては、
(1) やっていることより「記録があるか」
(2) 属人対応ではなく、ルールとして存在するか
(3)「なぜそうしたか」を説明できるか
これは、品質が良いか悪いかを語るのは、設計プロセスとしての総合的な力量によるものであって、品質マネジメントシステムとして見ているのは「品質を作る仕組みが回っているか」が常に見られているからです。
こう言ってしまうと、実際の品質を作りこむことについて、品質マネジメントシステム不要論を唱えられがちですが、実はそうではありません。品質マネジメントシステムを確実に構築して回しているからこそ、良い品質が作られていることを証明できるという点では、モノづくり品質を考える上では、ベースとなる考え方であり、切っても切れない関係であり、これらが上手く回っているからこそモノづくり品質が良いものであると世の中に知らしめることができるのであります。
そういう点では、このモノづくりの原点である設計管理がコアとなって良い品質を作り上げられているものと考えるのが、本来の筋なのだろうと考えます。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

