特殊特性

品質システム

モノづくりの仕様を検討していく中で、「特殊特性」という言葉を目にしたり耳にしたりしたことはあるでしょうか。
もしかしたら、「特別特性/重要特性」などの言葉の方が多いでしょうか。ここでは自動車産業としての品質マネジメントシステムとしてのIATF16949の公式な考え方を軸に、品質管理の指定、監査での見られ方も含めながら、特殊特性とは何かを考えていきたいと思います。

もちろん、自動車業界だけでなくモノづくり品質としての重要なポイントはいろいろな側面で関与することが多くありますので、同様な考え方を認識しておくことでより強固な品質マネジメントシステムの構築につながります。

まず結論から

特殊特性とは、顧客要求で指定された、また我々が選定したアイテム(機能、寸法、加工方法、検査内容など)と、安全性や法的規制に関係する項目を抽出し、管理していく中でも重要な特性として識別することが求められるものを総じて呼びます。
これは、安定生産や法規制への不適合の防止だけでなく、品質保証の観点でよく言われるロスコストの抑制にもつながってきます。

このため、一般的にいろいろな言葉で言われている感じがしますが、IATF16949と言った自動車産業の品質マネジメントシステムの中では、用語として「特殊特性(Special Characteristics)」のみなんです。

・重要特性
・特別特性
・CC(Critical Characteristics)
・SC(Significant Characteristics)
・KC(Key Characteristics)
といった言葉は、顧客・業界団体・会社独自の呼び方です。
また、言葉が違っても本質は同じであり、「特殊特性」はこれらの総評として捉えておくことができます。
すべての考え方は、「失敗したときの影響が大きい特性を、他よりも厳しく管理せよ」という思想から特別に管理することが重要であるという点です。

正しい位置づけ

この「特殊特性」の概念としては、IATF16949の8.3.3.3項に、「製品特性または製造工程パラメータのうち、安全、法規適合、機能、性能、後工程、顧客満足に重大な影響を与えるもの」として定義されています。

そして、これらは受注時から始まっており、顧客要求や承認図、仕様書といった上流の要求事項から設計FMEAやDR(デザインレビュー)といった、設計・工程設計で特定(定義)され、さらに工程FMEA⇒コントロールプラン⇒作業要領書などの現場管理に落とし込まれ、モノづくり現場ではチェックシートや教育資料、品質記録の中で運用されていきます。

一般的な管理ポイントとは違ってここでは、特殊特性としての識別を明確化することが要求されます。
そして、「識別⇒管理⇒監視⇒逸脱時の対応」までがセットとして考えなければなりません。
このため、識別として、マーキング識別を管理資料に加えているので問題ない、といった考え方だけでは十分でないケースがあります。後半に記述しますがコアツール類などの管理手法などを交えながら、特殊特性は特別な管理をしていることを対応もしくはアピールしなければなりません。

また、特殊特性には顧客要求に対応するものもあれば、自主的に重要管理しなければならない部位・加工方法などがあります。これらは、次章以降でも述べる品質に与える影響度合いを鑑みながら、特殊特性として管理していく必要があることに注意しましょう。

なぜ、いろいろな言葉があるの?

これは、顧客や業界ごとに危険の重さとしてのリスク基準が異なることが要因としてありそうです。

自動車業界では、過去の経緯から

・人命に直結するもの
・法規に関係するもの
・機能/性能に大きくするもの

を同じ重さで管理することは非効率として捉えていました。
例えば、基本機能である「走る/曲がる/止まる」といった機能の中でも、止まることが出来なくなるような安全性に関わる機能損失は人命にかかわる大問題になります。また排気ガス規制など環境性能としての法規制を逸脱すると社会的にも問題視されます。さらには発煙や発火などに至るような事象もユーザーにとっては危険かつ重大は損失です。一方でエアコンの故障、オーディオの故障などの快適性に関与する機能面でも重要なリスクポイントはいくつかあります。

そこで、顧客や業界が重要度としての違いを仕分けるよう識別することで、これらを管理しようとしたのです。

CC/SC/KCをざっくり整理

基本的には、特殊特性の呼び方で統一することが品質言マネジメントシステム上は望ましいのですが、ある程度の重みづけで整理されていることが多いことも事実です。

呼び方一般的な意味失敗したらどうなる?管理レベル
CC
(Critical Characteristics)
安全・法規に直結人命・重大事故・法的問題最も厳しい
SC
(Significant Characteristics
機能・性能に大きく影響クレーム・市場不具合高い
KC
(Key Characteristics)
組立性・工程安定に重要作業不良・バラつき増大中~高

これらはIATFが強制しているものではなく、顧客や会社が使っている管理のための区分ですが、要求事項として識別されているケースが多いので、注意して従うなど個別の対応が必要です。

これらは、よく誤解されがちですが、先にも述べたように「特殊特性」です。なので品質マネジメントシステム(QMS)から見て全部まとめて「特殊特性」なのです。
このため監査などでは「特殊特性について教えてください」と言われた際には、「特殊特性はありませんが、重要に管理している項目はあります・・・」などと答えてしまうと、「特殊特性」の規格の意味を半分以上は理解できていないことになりますので注意が必要です。

よくありがちなのが、精度がともなうような「はめ合い」「はんだ付け」などで電気的・機構面で致命症となってしまうようなケースにおいては自主的に特殊特性として管理することが必要です。

なお、こういった際にも重要なのは、CCかSCかとか区分よりも(顧客指定などは別)なぜ特殊特性として管理しているのか、どのように管理しているのか、を問われることが実体となりますので、工程FMEAやコントロールプランでの識別は重要ですが、この管理方法について整理することがモノづくりとしての最も大切な対応となります。

特殊特性の管理のしかた

特殊特性は、安全や法規制、そして機能性に至る重要なポイントが識別して管理されなければなりませんが、普通の特性と分けて厳しく管理することが求められます。
なお、識別については顧客によって指定マークもありますので注意が必要です。

観点 通常特性 特殊特性
管理方法 一般検査 識別管理・SPC(統計的管理)・工程能力重視
測定 定期点検による測定 MSA(Measurement System Analysis)が必修
逸脱時 是正処置 即封じ込め・反応計画
文書 図面だけ FMEA・コントロールプラン・作業要領書へ展開

このため、「不良が出たら直す」といったレベルではなく、「不良が出ない仕組みを作る体制」が特殊特性では必須となります。
また、これらはダブルチェックだけでは不十分なケースが多く、一般的にはポカヨケ的な工程設計に基づく未然防止によりリスク低減が施されることが高く推奨され、FMEAなどでも重要視されるポイントとなることに注意していきましょう。

監査における注意点

モノづくりの基本は、自主的に高い品質で顧客満足を得ることにありますが、初心者が陥りやすい注意点として、以下のようなポイントはNG例として理解しておきましょう。

・図面に識別マークまではしてあるが、現場での管理ポイントで指示されていない(未管理とみなされます)
・FMEAにはあるが、コントロールプランにはない(展開不足で工程が十分に管理下にない)
・SPC(統計的手法)による管理は行っているが反応ルールが不明(管理になっていない)
・顧客指定特性を独自で判断(CSR違反とみなされる)
などは、IATF16949の管理下において、不適合になりやすいので注意が必要です。

まとめ

ここでは、仕様管理の中でも「特殊特性」についての考え方を整理してみました。
呼び方はいろいろありますが、IATF16949という自動車業界としての品質マネジメントシステムにおいては、全部「特殊特性」としての枠組みで管理や監視されます。

とくに、安全性や法規制面での重要な特性に関わるモノづくりでは、失敗したときに困るものほどリスクとしては高く位置づけて考えることが大切で、「先に」「強固で」「仕組み」で管理することが重要です。

もちろん、自動車業界だけでなく、安全性や法規制関連におけるモノづくりはいろいろな側面で関与することが多くありますので、これらの考え方は先人の知恵的な品質管理として捉えて積極的に対応していくことがモノづくり品質を高める上でのポイントとなります。ぜひ、みなさんの品質管理にも照らし合わせてみていただけるとありがたいです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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